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 2011/10/03 独自ドメイン(blog.its-law.net)化しました。
 2011/04/13 事務所サイトの本館と分けました。
 2010/10/02 アドレスを「itslaw」に変更しました。
 2009/07/01 NINJAブログに移転しました。
 2008/06/22 ブログをリニューアルしました。
 2007/06/30 ブログを立ち上げました。

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author : ITS 
 今から十数年前、パリで行われた世界陸上の男子100メートル準決勝で、椿事が起こりました。メダル候補と見られていたアメリカの有力選手が、フライング(正しくは、false start)で失格となったのです。同選手はフライングの判定に抗議して、走路に大の字に寝て抗議したため、競技マナーや不服申立てのあり方にも議論は及びましたが、ここで問題にしたいのは、そもそもフライングとは何なのか、ということです。

 当時、競技場でもテレビでも、問題の場面が何度もスロー再生されましたが、少なくとも、肉眼では同選手が他の選手より早くスタートを切ったということは確認できませんでした。何度も再生を繰り返した挙句、実際のスタート前に、同選手の足が痙攣のように、一瞬だけピクリと反応したように見えた、それがスターティング・ブロックの反応装置に検出された、といようように(外野の議論は)落ち着いたようです。確かにスロー再正に目を凝らすと、そのような動きがあったように見えなくもありません。しかし、陸上競技規則のフライングに、その「ピクリ」が該当するのかどうかは明らかではありません。
 ところで、フライングの定義は、「ピストルの合図があってから、人体の反応限界であるゼロコンマ○秒未満でスタートした」となっているようです。もっとも、スパイク・シューズがスターティング・ブロックに置かれているだけで、それなりの加重はかかっているわけですから、ある加重限界を超えた時点でスタートしたとみなす、というような前提なのでしょう。(現状でどこまでやっているのかは不明ですが)これを更に精緻化すれば、ゼロ秒時点でのスタートとは言えない小さな加重状態から、合図後ゼロコンマ数秒後のスタートと言える大きな加重状態に向けて急速に立ち上がる、その波形を全体として評価してフライングかどうかを判断することになるでしょうか。
 そうなると、かなり複雑な判定アルゴリズムが組み込まれたシステムが介在することになってきます。その場合、ある選手がフライングを犯したということは、彼の作り出した波形が、そのシステムの判定アルゴリズムによってクロと評価されたということです。何か問題が起きたときに、こうしたものを検証することは、不可能ではないにしても著しく困難です。そこでは、ルールが適正な判定アルゴリズムの形で実装されるというのではなく、現に実装されている判定アルゴリズムがルールである、とでも言うしなかい状況が生まれます。この種の問題は、機械化された現代社会では実は少なくなかったのでしょうが、AIなどが実用化されれば更に増えるのでしょう。

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author : ITS 
 いわゆる「宙に浮いた年金記録」、「消えた年金記録」の問題が発覚してから10年近くが経ちますが、とても解消とは言えない状態のようです。最悪の場合、記録の不在により受給できるはずのものが受給できなくなるのですから、社保庁の責任は重大です。立派な「債務不履行」であり、民間企業であれば破綻していておかしくない事態です。ただ、記録の性質上、こうなるだけの十分な理由もまた存在します。

 相当大規模な組織のデータ管理を行った経験のある人であれば分かり過ぎるほどに分かるでしょうが、過去のデータの正確性(情報セキュリティ的に言うと完全性)を保つ作業は容易なものではありません。「正確性を保つ」どころか、システム再構築の際のデータ移行などになると、データの素性自体が分からない場合が多々出てきます。そこにデータはあっても、それが何を意味するのか分からない、という事態です。
 それでも大事に至らないのは、通常のデータでは利用期間がそれほど長くないからです。トランザクション・データは、一連の取引が終われば文字通り歴史的な記録の意味しか持たなくなりますし、マスタ・データも、時間が経つにつれて事実上アクティブでなくなっていきます。次第に「ゴミデータ」化していきますが、ともかくそれで済むわけです。
 しかし、ある種のデータには、利用期間が極端に長いものがあります。年金記録がその典型ですが、最長で10代、20代で納付した分の記録が、60代の受給時になって初めて使われるわけです。たとえ最初の記録化が正確であっても、40年以上の間、数次のデータ移行(昔であれば帳簿の転記?)に耐えなければなりません。これは想像以上の難事です。
 実証できるものではないでしょうが、昔話や伝説の類は一代ごとに歯が抜け代わりに尾ひれがついていく、という話があります。子供の頃に祖父や祖母から聞いたものを、自身が老年になって初めて人に語って聞かせるから、というのがその理由です。しかし、昔話や伝説と違って年金記録では、歯抜けも尾ひれも許されません。そうであれば、青年期や壮年期にも語り続けるほかありません。年金でも記録の送付・開示など、遅まきながらの対策は始めているようですが...

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author : ITS 
 コンピュータ・チェスの世界では、既に10年前、IBMのディープブルーが当時世界チャンピオンのカスパロフ氏を打ち破り(盤外戦の故との話もありますが)、コンピュータ将棋でも、先日、米長元名人(現役は引退されていますが)に勝利しました。難しいと言われているコンピュータ囲碁でも、並みのアマチュアでは敵わないレベルにまで、格段の進歩を示しているようです。

 こうした状況は、「コンピュータ対人間」とか「機械対人間」という図式で語られがちです。しかし、機械が勝手にチェスや将棋を始めるわけもなく、その背後には創意工夫と苦心惨憺の末にゲーム・システムを創り上げた人間がいます。実際、最近の将棋や囲碁での進歩の裏には、新しいアルゴリズム上の応用があったと言いますし、ハード面でも並列処理の工夫が機械の利点を引き出しています。図式化して言うなら、「エンジニア対棋士」というところでしょう。
 さて、棋士よりコンピュータの方が強くなってしまった場合、ゲームの運命はどうなるのか、とは昔から(今も)問われる疑問です。チェスの場合、コンピュータに太刀打ちできなくなってからも何ら廃れることはなく、むしろ負けたカスパロフ氏自身が、棋士がコンピュータを参考にしながら指すという「アドバンスト・チェス」を主導し、より質の高いゲームを実現するという成果を挙げているようです。西洋式の合理的な割り切りとも言えますが、生身の人間の居場所が次第に狭められていく、ある不気味さを感じさせないわけではありません。少なくとも、棋士が命懸けで取り組んだ「棋理の追求」が(ここでも)コンピュータ経由になってしまうことに、味気なさを感じる向きはあるでしょう。
 法律の分野では、エキスパート・システムが一時期盛んに研究されていました。判決予測というようなものにはほど遠く、特定法令の特定条項への適用関係を推理するというレベルのものですが、その後さほどの進展はないようです。恐らく、ゲームよりも、自動翻訳よりも、難しく時間がかかるでしょうが、生身の裁判官が判断するよりも間違いがないシステムを作ることは、不可能ではないでしょう。ただ、それが客観的にいくら正しくても、それを使おうした途端、あの不気味さが前面に出てきます。それは、本当に正しいのかという検証不能に対する疑念であり、人間が背後に退いてしまったブラックボックスに人間の運命の(ほんのわずかな一端であれ)委ねることへの違和感でしょう。

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author : ITS 
 とりあえず、ブログを立ち上げました。タイトルのとおり、法律とITが交錯する問題について、考えたことを書いていく予定です。ITといっても、ネット関係の趣味的な話よりは、「企業の情報システム」といった話になりそうです。というわけで、堅い話が多いです(多分)。

弁護士 菅沼聖也

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author : ITS 
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